展覧会紹介
© Succession H. Matisse Photo: François Fernandez
マティスと日本
今から約70年前の1951年3月、現在の東京国立博物館にて、日本で初めてのマティス展が開催されました。
この展覧会が開かれる前、当時80歳を超えていたマティスは、前年のパリでの展覧会を最後に展覧会は行わないという意志を固めていました。しかし、ヴァンス礼拝堂制作にも携わっていたマティスの弟子で画家・陶芸家の硲(はざま)伊之助(1895-1977)の説得もあり、門外不出とされていた油絵13点を含む100作品以上で構成される展覧会が実現することになりました。
「この展覧会には、いままでの自分の制作態度をうかがえる油絵と素描を集めることにした」とメッセージを寄せたマティスは、作品の選定や梱包、展覧会のポスター制作にまで細かく指示を出しました。体調を崩し、彼自身が来日することはなかったものの、「東京へ行ってみたい」と展覧会の様子を気に掛けていたと作家の宇野千代が語っています。
戦争を経て、長く西洋との交流が絶たれていた時代にあって東京で大好評を得たこの展覧会は、大阪、岡山を巡回し、マティスの芸術を日本に広く紹介し、各界に大きな影響を与えました。
本展では、1951年の展覧会にまつわる、当時の日本の熱狂を伝える資料なども展示する予定です。