展覧会紹介
© Succession H. Matisse Photo: François Fernandez
みどころ
20世紀最大の巨匠の一人アンリ・マティス(1869-1954)。自然に忠実な色彩から解放された大胆な表現が特徴のフォーヴィスムの中心人物としてパリで頭角を現します。後半生の大半を過ごすこととなるニースではアトリエで様々なモデルやオブジェを精力的に描く一方で、マティスは色が塗られた紙をハサミで切り取り、それを紙に貼り付ける技法「切り紙絵」に取り組みます。
本展はフランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、版画、テキスタイル等の作品や資料、約160点超を紹介するものです。なかでも切り紙絵の代表的作例である《ブルー・ヌードⅣ》が出品されるほか、大作《花と果実》は本展のためにフランスでの修復を経て日本初公開される必見の作品です。
本展ではさらに、マティスが最晩年にその建設に取り組んだ、芸術家人生の集大成ともいえるヴァンスのロザリオ礼拝堂にも着目し、建築から室内装飾、祭服に至るまで、マティスの至高の芸術を紹介いたします。
「切り紙絵」を中心に、
油彩画や彫刻など160点超を一堂に展示
マティスが晩年、精力的に取り組んだ切り紙絵に焦点を当てた展覧会は日本初。初期の油彩画や彫刻なども幅広く紹介しながら、マティスが長い芸術家人生で最後に到達した記念碑的な表現に迫ります。
アンリ・マティス(1869-1954)
Henri Matisse
©Archivio Storico della Biennale di Venezia - ASAC
photo by Interfoto
「マティス 自由なフォルム」国立新美術館 2024年 展示風景
© Succession H. Matisse 撮影:中川周
マティスがその60年以上におよぶ創造の歩みにおいて、熟慮と試行を重ねた末に到達したのは、アシスタントに色を塗ってもらった紙をハサミで切り抜き、それらを組み合わせて活き活きとした構図に仕立てあげる切り紙絵でした。色紙をハサミで切り取ることで色彩表現とデッサンを同時に行うことができたのです。筆とカンヴァスの代わりにこの「ハサミでデッサンする」手法で、自由自在に色とかたちを生み出し、そのキャリアの絶頂期を迎えたのです。
4.1×8.7メートル!
大作《花と果実》を日本初公開
ニース市マティス美術館のメインホールで来場者を迎える切り紙絵の大作《花と果実》。本展のために修復を経て、初来日します。
アンリ・マティス《花と果実》1952-1953年
切り紙絵、410 × 870 cm、ニース市マティス美術館蔵
© Succession H. Matisse
マティスの切り紙絵の作品の中でも最も巨大な部類に入るこの作品は、5枚のカンヴァスが繋がって構成されています。壁面の一面を覆う広大な画面はあたかもタペストリーのようで、鮮やかな色彩によって装飾的豊かさが加わっています。本展の出品にあたり2021年に大規模な修復が行われました。
photo credit © Ville de Nice
マティス芸術の集大成、
ヴァンス礼拝堂を体感
ニース郊外のヴァンスに建つロザリオ礼拝堂は、最晩年のマティスが建築の室内装飾や司祭服をデザインした、マティス芸術の集大成です。
本展ではこの礼拝堂の内部を原寸大で再現しています。
本展では、ヴァンスのドミニコ修道会とマティス家の許可を得て、礼拝堂の内部を原寸大で再現しました。ステンドグラスを通じて差し込む鮮やかな光も表現し、1日の光の移り変わりを約3分で体験することができます。
切り紙絵による司祭服のデザインや、ステンドクラスの習作など、礼拝堂にまつわる多数の作品、資料とあわせて、マティス芸術の集大成を会場で体感してください。